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これは、MIAの語り部であり、実践者である今井清二郎氏が、富岡の青年会議所のメンバーにMIAについての熱き思いをメールでつづったメッセージです。
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今日はMIAプログラムの中に取り入れた、ユニークなオリジナル発想の続きを話します。
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MIA独特の ≪イメージチェック≫

 ムーチョ・小野正孝は、当時あまり前例のなかった、選挙で日本青年会議所の会頭に選ばれた。
 長野というローカルでしかも企業は中小企業。選挙キャンペーンは熾烈を極めた。 全国にキャンペーン隊が派遣された。長野青年会議所は燃え上がったのである。
 そして、立会演説会では、ムーチョの登場に合わせて、”オーノー、オーノー、オーイエス!!”、という応援コールが鳴り響いたという。演出も実にすばらしかったという。

 これは私の勝手な想像だが、小野さんが亡くなって20年後、長野は冬季オリンピックの開催権を勝ち取ったが、招致キャンペーンの成功はムーチョの会頭選挙のノウハウとエネルギーが消えずに残っていたのかもしれない。まあ、それはともかく、小野さんは1972年度の会頭に当選した。

 その選挙戦に当たって、小野さんは長野青年会議所の若手メンバーを20人ほど料亭に集めて、一席を設けた。いよいよ雰囲気が盛り上がってきた頃、別室に移動して、小野正孝の良いところ、悪いところを徹底的にあげてくれと頼んだ。

 自分を客観的に眺めて、会頭にふさわしい人物に変身したいと思ったからだという。
日本青年会議所の会頭という、メンバーにとっては雲の上の人であり、理想の人でもある人物像に小野さんのイメージをダブらせて描いた小野正孝の人物評価は、歯に衣を着せない強烈なものだった。

 小野さんは、”若者は遠慮がない”、と苦笑していたが、もちろんそれは照れ隠しだった。
その中には、≪ズクがある≫≪ダイナミック≫≪不死鳥≫≪インターナショナル≫≪オープン≫≪ヒューマン≫≪団らん≫などの言葉に混じって、≪型やぶり≫≪大食漢≫≪クレージー≫≪すぐ裸になる≫などの言葉が綴られていたという。

 今上げた言葉は、小野さんが自分のPR用に後で作ったイメージチャートの中にあるものの一部であるが、これはもちろん表向き。レポート用紙にぎっしり詰まった小野評は、人には言えないものもあったという。
≪人文科学には強いが、理数に弱い≫≪いつも同じ背広≫≪歩く姿がかっこ悪い≫などという言葉も載せられていたのだ。
 この位の事しか我々には話してくれなかったが、”実はもっとひどいことも書かれていたんだ。参ったね・・・”、
と、述懐していた。

 その後、後輩達が作った三枚のレポート用紙を毎日のように見て、小野さんは自分の人間性を磨き、自らを変身していった。
 レポート用紙は、死ぬまで、”これがオレの一番の宝だ”、と、大切にしていたのである。

 MIAの中では、ムーチョの編み出したこの方法論を [イメージチェック] としてプログラム化した。

 人間は実在するものに対して、どんなに少ない情報量であっても、そのものの実体をイメージでとらえる能力がある。
 これを≪認識≫とも言うことができるが、他の動物では不可能なことで、いずれコンピュータの進化によって人と同じことが可能になるかもしれないが、現在のレベルでは人間だけの優れた能力といっても良い。
そして、描いたイメージによって人はそのものに対してのアクションを起こす。
この場合、描いたイメージが正しいかどうかは関係なく、とにかくイメージに頼って行動を起こす。


 MIAの目標は、≪より高きマネージャー像を求めて≫、自己を変革していくことにある。
その目標を達成するためには、まず自分自身を良く知らなければならない。
 自分のことは自分が一番良く知っている、と誰でもが思いがちだが、意外とそうではない。

 自分が長年抱いてきた自分自身のイメージも、見方を変えればすっかり変わってしまうほど、極めてあいまいなものなのである。
そこで、一度しっかりと紙に書き出しチェックをしてみる必要があるのだ。

 

イメージには、自分が他人から思われているイメージと、自分が自分自身に描いているイメージの二つがある。その両面をチェックする。

 自分が他の人から思われているイメージは重要だ。

 あいつは楽しい奴だと思われていればすぐに友達づきあいをしてくれるし、勉強家だという評価なら勉強会に誘われる。酒好きだと思われていれば飲み会に誘われ、仕事に熱心だというイメージなら仕事も頼まれる。
 人の面倒見が良いという評価ならリーダーに選ばれる。・・・・・・・もちろん逆もある。
自分がもたれているイメージが重要だという意味は、相手が自分に仕掛けてくる行動を全て決めているからなのである。
 その場合、正しく相手が自分の評価をしているかどうかの詮索は意味を持たない。
たとえ間違ったイメージをもたれている場合でも、相手はそのイメージによってあなたの評価を決めているのだ。


 MIAでは、同じ勉強会に参加している仲間から自分のイメージを書き出してもらう。

 また、自分が自分自身に抱いているイメージはもっと重要だ。
 なぜなら、そのイメージによって自分自身の行動が全て決まってしまうからだ。
自分を消極的な人間だと思えば、行動は消極的に。明るくはつらつとしている、と思えば言動は陽気になる。

 自分は音楽が趣味だ、専門は経営学だ、営業なら任せておけ、などという思いがあれば、その分野には積極的な行動を起こす。自分は駄目だ、今の仕事は自分にあっていない、誰からも信用されていない、などと思っていれば、つい身がすくんでしまう。
 しかし、これらのイメージもまた、自分自身で勝手に作り上げたイメージで、本当にそうかといえば怪しくなってくる。イメージのほとんどは、相対的なものであり、絶対的なものではないからだ。

 つまり、考え方を変えればほとんどのイメージは変えていけるのである。
MIAでは、チャートの真中に自分の顔写真を貼り、その周辺に自分のイメージを書き出していく。

さて、二枚の自分に対してのイメージチェックが出来上がった。
これをどう使っていくか?
仲間からは自分が思ってもいなかった厳しい見方、いかに自分のことを誤解しているのかという不満や、中には買いかぶりと思われるものもある。

 自分自身のイメージと比べると、同じ評価もあるし、まったく違った評価もある。
そこで、MIAの目標である、≪より高きマネージャー像≫、を実現するために
変えていかねばならないイメージを取り出し、変えるための努力をしていくのである。

一つだけわかりやすい例をあげよう。

「自分は勉強家ではない、人もそう思っているようだ。しかし、これではマネージャーとして失格だ。」と思ったら、ブックセンターに行って50冊ほど本を買ってくる。デスクも書架もスタンドも部屋に入れよう。
 格好が整えば、毎日気になっていつか本を読み出すに違いない。
青年会議所に出かけるときには、必ず難しそうな本を二冊くらい抱えていこう。
これを続ければ仲間は、『 いつから勉強家になったんだね。凄いじぁないか・・・』、とすぐイメージチェンジしてくれる。自分自身もまた環境の変化と成果から、『オレも捨てたもんじゃあない!』、と思うようになる。

 基本的には、変えようとするイメージはほとんどすべて変えることができる。
『過去と他人は変えられない』、という言葉があるが、そのことばの裏にあるものは、『現在と自分自身ならいつでも変えることができる』、のである


 過去にとらわれず、他人を変えようと思うな、今、自分が新しい人生を歩み始めよう。

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さて、今日はこれまで。次は、企業の生々流転を取り上げます。

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2001.4.29   今井清二郎

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